マルメルの中野です。
周年の記念品、展示会の配布物、キャンペーンの特典。ノベルティを作る機会は、意外と多いものです。
実はわたしにも、ノベルティ作りで失敗した経験があります。
今回は、その失敗談をきっかけに、わたしがノベルティについて考えていることをお話しします。
周年のお祝いに、ロゴ入りコースターを作った
わたしが以前在籍していた会社で、広報を担当していたときの話です。
会社が周年を迎えるにあたり、記念のノベルティとして、コースターを作ることになりました。
作り方はとてもシンプルでした。ネットで安いノベルティ屋さんを探して、分厚いコースターを選んで、そこに会社のロゴをぺたっと乗せる。以上です。
そして出来上がったコースターを手にしたとき、頭に浮かんだのは、想像していた通りの感想でした。
「これ、誰が欲しいんやろう」
自分が好きなブランドのロゴなら、それだけで欲しくなることもあります。でも、大抵の場合はそうではありません。ロゴが載っているというだけでは、使いたくなる理由にはなりにくいんですよね。
本当に、ロゴを乗せるだけでよかったのか。そもそも、コースターでよかったのか。今思えば、考えるべきだったのはそこでした。
在庫が、一向に減らない
「誰が欲しいんやろう」と感じていたのは、どうやらわたしだけではなかったようです。
営業のメンバーも、積極的に配ろうとはしませんでした。社内の在庫は、一向に減りません。
数ヶ月が経ち、「在庫も余っているし、社員のみんなも持って帰っていいよ」という話になりました。ところが、誰も持って帰らないんです。まあ、当たり前ですよね。社員にとっても、欲しいものではなかったわけです。
周年のお祝いのために作ったはずのものが、誰の手にも渡らない記念品になってしまった。こんなに悲しいことはありません。
とはいえ、コースターを作ってくれたデザイナーさんやノベルティ屋さんに、問題があったわけではありません。依頼したとおりのものを、きちんと仕上げていただきました。
問題は、何を作るかを決めた、頼む側にあったんです。
足りなかったのは、予算ではなく「考えること」
今振り返ると、原因ははっきりしています。
このコースターは、誰に配るのか。配られた人は、何をもらったら喜んでくれるのか。営業が「これ、どうぞ」と渡しやすいものなのか。そういうことを、一切考えていませんでした。決め手は、金額と手軽さだけだったんです。
安物買いの銭失いとは、まさにこのことですよね。安く作ったつもりでも、誰にも使われなければ、かけたお金はそのまま無駄になってしまいます。
もう少し踏み込んで言えば、そこには情熱がありませんでした。もらう人を喜ばせたいという気持ちが、こもっていなかったんです。
そして、情熱のこもっていないノベルティを欲しいと思う人は、なかなかいません。ノベルティは本来、みんなが喜んでもらってくれるものであるべきだと、わたしは考えています。
ノベルティは、相手の日常にお邪魔できるチャンス
わたしがここまでノベルティにこだわるのは、ノベルティが大きなチャンスだと思っているからです。
たとえば、ブランドのロゴやデザインが入ったメモ帳をもらってくれたとします。その人が自分で使ってくれれば、ブランドが刻まれた文具が、いつもその人のそばにあることになります。
さらに、その人がメモを書いて誰かに渡したら、受け取った人にもブランドを知ってもらえる。もらった一人で終わらず、その先にまで届いていくわけです。
これって、すごいチャンスだと思いませんか?
ただ、それは誰の手にも渡らないものを作っても実現できません。使ってもらえて初めて、ノベルティはチャンスになるんです。
「売れる文具」を作り続けてきたから、わかること
マルメルは、オリジナル文具ブランド「スタンプマルシェ」を運営してきたメンバーが立ち上げた会社です。スタンプマルシェでは、主に30〜50代の女性のお客様に向けて、これまで2,000以上のアイテムを企画・制作してきました。
文具を売る経験を重ねるなかで、わたしが大切にしてきた考えがあります。それは、売れる文具とは、みんなが喜んでくれる文具だということ。どんな文具なら手に取ってもらえて、喜んで使ってもらえるのか。その経験の積み重ねが、ノベルティを作るうえでのマルメルの強みになっています。
そしてもうひとつ、文具はノベルティにぴったりなアイテムだと感じています。
理由のひとつは、使い続けてもらえること。ノベルティの多くは、もらった瞬間がいちばん嬉しいピークです。でも文具は、手帳に貼られたり、机に置かれたりしながら、日常の中で使われ続けます。
もうひとつは、コミュニケーションの道具であること。メモを渡す、手紙を書く、付箋を貼る。文具は、誰かに何かを伝えるときに使われることが多いものです。受け取った人が「これ、なに?」と興味を持ってくれれば、そこから会話も生まれます。
さらに、手帳やノートを自分好みに飾る楽しみ方もあり、シールやマスキングテープは「見せたくなる」アイテムでもあります。もらった人が自分で楽しみ、誰かに見せたくなる。そんな広がり方ができるのも、文具ならではだと思うんです。
作る前に、考えてみたいこと
では、せっかくノベルティを作るなら、何を考えればいいのか。わたしは、配る人ともらってくれる人のことを、徹底的に考えるところから始めています。
- 誰に渡すのか
- どんなシーンで渡すのか
- 何を、どんなデザインで作るのか
- どんな言葉と一緒に渡すのか
- もらってくれた人は、どこで、どうやって使うのか
どれも当たり前のことかもしれません。でも、あのコースターを作ったときには、このどれひとつとして考えていませんでした。
そして、これらを考えることは、結局のところ、自分たちのブランドやお客様のことを考えることなんだと思います。自分たちは何を大切にしていて、お客様はどんな人で、どんな毎日を過ごしているのか。そこが見えていなければ、喜んでもらえるノベルティは作れません。
せっかく作るなら
周年のお祝いに作ったコースターは、誰の手にも渡らないまま終わりました。その経験があるからこそ、わたしは今、ノベルティづくりにちゃんと向き合いたいと思っています。
金額や手軽さだけで選ぶと、かえって高くつくことがあります。安物買いの銭失いにならないように、いろんなことを考えて作る。それだけで、ノベルティは「ただの配布物」から、ブランドを相手の日常に届けるきっかけに変わるはずです。
せっかく作るなら、もらった人の顔が浮かぶノベルティを作りたい。わたしは、いつもそこから考えるようにしています。