マルメルの中野です。
今でこそWebサイトや販促物、オリジナル文具の企画・デザインをする会社をやっていますが、わたしの社会人のスタートは営業でした。
それも、マンションを一部屋ずつ回る、光ファイバーの訪問営業です。
当時は訪問と並行して、自分でチラシを作って配っていました。振り返ってみると、今の仕事の考え方の多くは、このチラシづくりから始まっています。今回は、営業マンだったわたしが自作のチラシから学んだ、反響が出る理由の話です。
マンションを一部屋ずつ回っていた頃
当時の仕事は、マンションに住んでいる方に光ファイバーのインターネット回線を案内して、契約してもらうこと。いわゆる飛び込みの訪問営業です。
で、この会社。ノルマが、なかなかの高さでした。
どのくらい高かったのか。それを知ったのは、だいぶ後になってからです。同僚が同業の別の会社に転職して、こんな連絡をくれたんです。
「中野さん、転職したらノルマ半分になりましたよw」
……半分。
え、半分?
つまりわたしたちは、同業他社の倍のノルマを、それが普通だと思って毎日追いかけていたわけです。知らないって強い。
そんな環境でしたが、わたしはそのノルマのさらに1.5倍くらいの契約をとっていました。今思えば、なかなか無茶な働き方でした。
訪問営業は得意なほうだったと思います。ただ、成績を支えていたのは、訪問だけではありませんでした。
チラシの出来が、そのまま数字になる
もう一つの武器が、チラシです。
このチラシ、会社から配られるものではありませんでした。営業がそれぞれ、自分で作るものでした。
ということは、どうなるか。チラシの出来栄えが、それを見た方からの問い合わせ、つまりインバウンドの数字にそのまま表れます。いいチラシを作れば問い合わせが来るし、そうでなければ来ない。言い訳のしようがない、わかりやすすぎる世界です。
そしてわたしの場合、このチラシの反響がすごかったんです。チラシからの反響も含めた営業成績で、わたしは大阪の本社の中で常に1位でした。
わたしがチラシでやっていたこと
じゃあ、チラシで何をしていたのか。ポイントは大きく三つです。
一つ目:メリットが5秒で伝わるようにする
チラシを見ただけで、5秒で「お、これは得だな」とわかる。これを、とにかく徹底しました。
そして、そのメリットというのも、お客様によって異なります。これが二つ目につながります。
二つ目:住んでいる人に合わせて、中身を変える
マンションによって、住んでいる人はさまざまです。すでにADSLなどでネットを使っている人もいれば、まだネットを使っていない人もいる。学生さんが多いマンションもあれば、ファミリーが多いマンションもあります。
当然、響く話は違います。
すでにADSLを使っている人には、料金が少し下がることと、速度が上がることを中心に伝えていました。それから、プロバイダをそのまま引き継げばメールアドレスを変えなくていい、という点も推していました。
一方、まだネットを使っていない人には、インターネットで何ができるのかを知ってもらうところから。動画などを例に「光ファイバーなら、こんなことが楽しめますよ」と、インターネットそのものの魅力を伝えていました。そのうえで、今から始めるなら光ファイバーがおすすめです、と。
同じ光ファイバーの話なのに、入口がまったく違います。
では、どのマンションにどんな人が住んでいるのか。これは、マンションを回っていたからこそ、なんとなくわかったことでした。訪問営業で肌で感じたことが、そのままチラシの中身になっていたわけです。
三つ目:渡し方まで考える
チラシは、作って終わりではありません。誰の手から、どう渡るかでも、受け取られ方が変わります。
そこで、ときには管理人さんや管理会社にお願いして、住人の方に渡してもらっていました。知らない営業マンがポストに入れたチラシより、管理人さんから届いたほうが安心です。
お願いするときは、こんなふうに話していました。
料金も安くなるし、インターネットの速度も上がるので、ぜひみなさんに知ってもらいたい。導入するかどうかはもちろんお客様次第なので、まずはこういう設備がこのマンションに入っていることだけでも知ってほしい、と。
住人の方にメリットがある話なので、快く引き受けてくださる方も多かったです。もちろん断られることもありましたが、そこはあまり気にせず、次へ。
渡し方でもう一つ、よく効いたのが事前の予告チラシです。
あるマンションでは、「土日のこの時間に、この営業マンが説明に回ります。よかったら話を聞いてください」という内容のチラシを、管理人さんから配ってもらったことがあります。しかも、わたしの顔写真付きで。
これが、かなり効きました。
いきなり来る知らない営業マンではなく、事前に顔のわかる人として訪問できる。ここでも、効いていたのは安心感だったのかもしれません。
反響がない時は、どこで止まっているかを考える
今でも覚えているマンションがあります。
ファミリー向けのマンションで、いかにも問い合わせが来そうな物件でした。ところが、どれだけメリットを訴求しても、うんともすんとも言わない。
メリットは伝えている。住んでいる人にも合っているはず。それなのに、反応がない。
しばらく考えて、ふと思ったんです。もしかしたら、よくわからない会社からチラシが入っていても、怖くて問い合わせできないのかもしれない、と。
そこで、「このマンションに光ファイバーを導入したのはわたしたちの会社です」という内容のチラシを入れてみました。実際、オーナーさんと契約して導入まで進めたのは当時のわたしの会社だったので、それをそのまま伝えたわけです。
すると、問い合わせが増えました。
足りなかったのは、メリットではなく安心感だったのかもしれません。いい話かどうかより先に、「この会社に連絡して大丈夫かな」というところで止まっていた。
チラシに教わった、反響を出すための考え方
こうした経験から、わたしがチラシに教わったのは、反響を出すための考え方と、その順番でした。
- 誰に届けるのか(学生なのか、すでにネットを使っている人なのか)
- その人にとってのメリットは何か
- それを、いかにシンプルに伝えるか
- どうやったら届くのか
- 届かない、申し込みがない時は、どこにボトルネックがあるのか
これを、徹底的に考える。
問い合わせがなかったマンションでも、アプローチを変えるだけでグッと問い合わせが増えることがありました。つまり、反響がない時は、どこかで何かが止まっている。そこを探して変えれば、結果は変わるかもしれない。チラシは、それを何度も教えてくれました。
まとめ
思い返すと、このチラシづくりで考えていたことは、パンフレットでもWebサイトでも変わらないと思っています。
誰に届けるのかを決めて、その人にとってのメリットを、シンプルに、届く方法で伝える。反応がなければ、どこで止まっているのかを探して、変えてみる。
チラシは、作った時点ではまだ何も起きていません。配って、見てもらって、問い合わせが来て、初めて意味を持ちます。
営業時代、それを数字で突きつけられ続けたからでしょうか。わたしは今でも、作ることそのものより、作ったものがその後どう使われるかが気になってしまいます。マルメルが、何をつくるか考える段階から、公開・納品後の運用や改善まで相談を受けているのも、たぶんこの頃の経験があるからです。
それにしても、同業他社の倍のノルマだったとは。知らずに走り回っていた当時の自分に、ちょっとだけ「よく頑張ったね」と言ってあげたい気がします。