マルメルの中野です。
「うちの業種だったら、こんな感じのサイトが普通だよね」
そう思いながら作ったウェブサイト、あなたにも心当たりがありませんか?
病院なら白を基調に、診療科目・受付時間・アクセスを整然と並べる。製造業なら製品ラインナップと会社概要と実績一覧。飲食店なら写真映えするメニューとSNSへのリンク。
それは間違いではありません。でも、それだけでは足りない時代になってきていると、わたしは感じています。
情報を並べるだけでは、埋もれていく
ウェブサイトの役割はこれまで、主に「情報を届けること」でした。診療時間を知らせる、製品スペックを伝える、お店の場所を案内する。そういった情報を、わかりやすく整理して公開する場所。
でも考えてみてください。テンプレートに情報を流し込むだけで、見栄えのするサイトが短時間で作れる時代になりました。AIツールの進化もあって、「情報発信としてのウェブサイト」はどんどんコモディティ化しています。どこも同じような構成、同じような言葉、同じような見た目。
情報を並べるだけのサイトは、埋もれていくとわたしは考えています。
思想があるサイトは、違う結果を生む
マルメルが関わったハンコ屋さんのサイト構築で、実際に経験したことがあります。
もともとのサイトは「ハンコ屋さんがここにあります」という情報を並べたものでした。それをリニューアルする際、「ただ情報を整理するのではなく、誰のためのお店なのかを伝えよう」という方針で進めました。個人の方には「お祝い事のギフトに」、法人の方には「このシーンにはこのハンコが合います」という形で、使い手の文脈に沿った情報発信に切り替えたんです。
結果、来店数が増えました。それだけじゃなく、採用活動にも変化が出たと聞いています。応募数が増えただけでなく、「応募に来る人の質が高くなった」というのがオーナーの言葉でした。
サイトから伝わる思想が変わると、集まる人が変わる。これを実感した経験です。
「誰のためのサイトか」が先にある
思想を表現するサイトを作るために、まず問うべきことがあります。
「誰に向けて、どんな存在でありたいか」
これはデザインの話ではなく、戦略の話です。
ターゲットを「30〜50代の男性」のように属性で定義するだけでは弱い。「自分の体と長期的に向き合いたい人」「価格より品質と背景にこだわりたい人」——価値観ベースの定義ができてはじめて、サイトに乗せるべき言葉とトーンと体験が決まります。
先ほどのハンコ屋さんの例でいえば、「ギフトとして贈る人」「法人で実務的に使う人」という文脈を先に決めたから、それぞれに刺さる言葉が書けました。万人に向けた情報ではなく、特定の誰かに深く刺さる表現。これがこれからのウェブサイトに求められる役割だとわたしは思っています。
思想はブランドになり、あらゆる表現に宿る
ここで、もう一歩踏み込んで考えてほしいことがあります。
思想を言語化する作業は、ウェブサイトのためだけではありません。それはそのまま、会社のブランドそのものになります。
「なぜやっているのか」「誰のために動いているのか」という軸が定まると、面白いことが起きます。ウェブサイトの言葉が変わる。SNSで何を発信するかが変わる。採用ページで伝えるべきことが変わる。スタッフが顧客に話す言葉まで、変わってくる。
ロゴのデザイン、写真の雰囲気、コピーの温度感——これらはバラバラに決めるものではなく、すべて「この会社が何者で、何を大切にしているか」から派生します。思想がなければ、クリエイティブはただの装飾になります。思想があれば、クリエイティブは意味を持ち、一貫性を持ち、人の記憶に残るものになります。
一貫した思想が、「選ばれる理由」をつくる
人が何かを選ぶとき、最終的な決め手は論理よりも感覚であることが多いですよね。
「なんとなく、この会社が好き」「なんか、ここに頼みたい」——そういった感覚は、どこから来るのか。
接触するたびに同じ印象を受けるから、だとわたしは考えています。サイトを見ても、SNSを見ても、パンフレットを手に取っても——どこから触れても同じ「らしさ」が感じられる会社は、信頼を積み重ねていきます。
逆に、サイトは真面目な雰囲気なのにSNSはバラバラ、パンフレットは別の会社に頼んだら全然違うトーンになってしまった、という状態は、意図していなくても「この会社、軸がないな」というシグナルになってしまいます。
思想があり、それがブランドになり、あらゆる接点に一貫して表れている。これが選ばれ続ける会社の共通点で、その起点になるのがウェブサイトであることが多いです。多くの人が最初に触れる接点が、サイトだからです。
マルメル自身も、まだ模索しています
じつは、マルメル自身も「何者かを表現する」という問いに、まだ答えを出しきれていません。
会社の歴史はまだ浅く、これまでやってきたこと・考えてきたことを整理しながら、どんな会社にしていくかを考えている段階です。「思想を表現しましょう」と言っている自分たちが、その途中にいる。
だから、わたしはこのJOURNALを書き始めました。自分たちが何を考え、どう動いてきたかを書き記していくことが、マルメルという会社の思想を形にしていく作業だと思っています。
「うちのサイト、なんか違う気がする」と感じているなら、それはデザインの問題ではないかもしれません。わたしも一緒に、その問いと向き合っています。